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アメリカ版 Book Club
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アメリカ版 Book Club とは?

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アメリカ版? 日本の読み聞かせ読書会とどう違うの?学校で本を読むのとどう違うの?

コミュニケーションの土台、Thinking Ability(考える力)やListening and Speaking Skills(人の話を聞き、意見を言える力)が自然に身についてきます。Metacognitive Learning(メタ認知学習法*)だからです。  アメリカではBook Club, Literature Circleなどと呼ばれ、学校でも定期授業の一環として導入されています。子供たちの成長に驚き、感動した一人として、ぜひこの内容を知っていただきたいと考えています。  (*自分の中にある思考、行動そのものを対象化して認識することにより、自分自身の認知行動を把握できる能力を学習に利用する試みです。)

米国にはAmerican Coffee(アメリカン・コーヒ)と呼ばれるものはありません。それと同様、American Book Clubという名称もありません。今日、紹介したい活動は、アメリカでその効果が高く評価されているLiterature Circle, Reading Circle, Book(訳せばすべて「読書クラブ」)と呼ばれているものです。通常Book Clubと言うと、読書家のための書籍紹介、割安に書籍を買えるなどの商業的なクラブと、おもに学校、図書館、地元のクラブなどで行われる「読者が集まり、本の感想を述べ合う」クラブがありますが、ここで紹介したいのは後者です。日本でも読書クラブとか、学校の授業の一環としての「読書の時間」などがあります。しかし、大きく違う点があります。全ての流れが「生徒主導型」であること、本に基づいた「Discussion(ディスカッション)」が主要な要素であることの2点です。日本の国語の時間でも、文学作品を読み、感想を述べる授業はありますが、ここで紹介するアメリカ版ブッククラブ(American Book Club, 以下、略してABC)方式は「生徒主導型」と「Discussion(ディスカッション)」の相乗効果で自分の意見をより深く構築できるというものです。その過程の中で、こども達はself esteem(自信), leadership(リーダーシップ), mutual respect(お互いを尊敬する心)などを育み、なにより、人の話を聞きながら、自分の意見をより深めることができるというcommunicationの土台が作られていきます。グループでのやりとりが、個人で読書をする場合とは異なる別のエネルギーが生まれ、個人の考えが浄化され、深まるとでも表現するのでしょうか。2005年夏、Book Club Overseasを企画、当オフィスでいわきのこども達(11-18歳)と、アメリカFoster Cityのこども達(13-14歳)とで、Paulo Coelhoの”The Alchemist”を読んでDiscussionをしました。考えを積み重ねるトレーニングを積んでいるアメリカのこども達は「読み」が深い!日本のこども達は圧倒されたようですが、まちがいなくinspiring momentであったと確信しています。


日本でもこのコンセプトを取り入れることは可能です。基本的には「自分たちの好きな本を読んで、それをみんなで話して考えてみよう。」のスタンスです。特にそろそろ親離れ、独立心に目覚める時期に、同年代の子供たちの中で、意見を構築するセッションを持つことは、自己認識や周囲への目の向け方など、間違いなく大きな違いが生まれます。下記に小学、中学校で実施されているABC概要をご紹介しますが、こうでなければならない形はありませんから、いろいろか可能性があると思います。現に、アメリカでも学校以外に、図書館、民間のさまざまなグループが同様の趣旨で活動しています。成長が著しい10代の娘と母親のブッククラブ、30代、40代の大人のブッククラブなど、形も方法も様々です。難しく考えず、「人の話を聞く、自分の意見を言ってみる」から始めてみませんか。本の選択も母語の日本語のほうが入りやすいです。グループで会を重ねていくうちに、そのグループなりのやり方が出てくるでしょうし、参加者の意見にも変化が見られるでしょう。何より「本を好きになる」ことは間違いないようです。ぜひ、各教室で、サークル活動で、あるいはご家庭でも参考にしていただければうれしいです。ICCでは、このアメリカ版ブッククラブのFacilitator(文字通り訳せば「事を容易に進める人」。ABCの交通整理役です。)の養成を推進しています。日本の読書クラブと違いを意識して、あえてここではアメリカ版ブッククラブ(American Book Club, 以下ABC)ということばを使いました。下記は、小学校の教師陣が出版した“Getting Started with Literature Circles”(1999 Christopher-Gordon出版社)、Literature Circles Resources Center at Seattle Universityの内容から一般的な情報を要約したものです。<資料監修: Epiphany Educational Services in Foster City, CA, USA>

 

◆背景:

現在、全米の学校の正規授業に取り入れられているABCのコンセプトがいつ定着したから定かではない。あるソースによれば1982年に、アリゾナ州フィニックスの小学校教師Karen Smithによって始められたと言われている。当時5年生を担当していた彼女は、たまたま教室に「古本」のたくさん入った箱を持ち込む。が、忙しいスケジュールの中、そのまま放置してしまう。その年も終わろうとしているころ、生徒数人がこの古本に興味をもち、自分達で小さなグループを結成、本の話をしはじめた。教師主導型の読書の時間よりも、生徒たちの本に対する関り方、討議している意見の深さなど、驚くものがあった。この種の逸話がいくつかあるようだが、実際はその以前からGifted Children<知能程度の高い、能力の高い子供たち>の教育の場でグループでのDiscussionが有効であるとの定評があり、それが徐々に一般の教育にも普及しつつあったという事実が現在のABCを生み出したと言えよう。いずれにしろ、80年代から急速に普及した背景には、教師のネットワークが根底にあり、さらにインターネットでの情報交換が加速化に拍車をかけたようだ。ABC方式を導入後、生徒たちの前向きな反応を受け、教師間の情報交換が活発になる。現場の情報が蓄積され、ハンドブックの出版、運用のサポートをするホームページなどが利用できる。ABCは「ABCを行うための方法は決してひとつではない」という前提で運用されている。 取り上げている本、集まる場所の環境、参加する生徒の個性によって方法は様々に変化していく。固定化された「プログラム」ではなく、毎年、または日ごとにでさえ変化を伴うものだ。 


◆ABCは従来の読書クラブとどう違うのか?

ABCでは、少数の生徒が一つの文学作品をできるだけ深くDiscussion する目的で集まる。このDiscussionは、生徒が作品に反応し、その反応にあわせて進められていく。当然、作品のなかの出来事、登場人物についての話が出るし、著者の作品作りの手法、または作品に関連した個人的な経験が話されることもある。ABCへの参加を通し、生徒たちは深く追求して考え、議論し、本に反応することを経験する。このアプローチの中核となるのは、生徒主導、協働作業といえる。生徒たちは、他の参加者とのやり取りの中で、自分の理解、作品の意味を考え、修正し、再構築していく。これがメタ認知能力を利用した教育法である。 ABCがどんなものかを理解していただくために、学校という場でABCを実施した場合の形態を紹介したい。 
 

ABCの概要

アメリカでの従来の読書クラブ . .

読者である生徒が主体。

教師とテキストが主体。

総括的なリテラシープログラムの一部

読書カリキュラムの全て。

本を選択し、それに基づいて結成されたグループ

能力により、教師が割り当てたグループ

生徒の独自性、責任、生徒主導を推し進める構造。

不統一で、制御されていない一方的な「しゃべり」の時間

主に生徒の洞察力と質問提議によって導かれる。

主に教師またはカリキュラムベースの質問によって導かれる。

生徒の読み書きのスキルを応用する場として位置付けされる。

読む書きの訓練の場として位置付けされる。

柔軟であることと流体であること。

規範的な「レシピ」に縛られる。

 ◆ABCがなぜこどもの成長に効果的なのか。

1.集団学習の効果

ABCは教師主導型学習から生徒主導型学習へ移行する際の中間地点で導入され、間接指導の協同学習と言える。大人の監督下、集団学習をした場合、個人学習の場合と比較して、こども達は思考力の向上、情報をより長時間維持できるなどが多くの研究で指摘されている。こども達が意味を探る上で、「集団」という動的な環境が大きな役割を果たすと考えられる。


2.理解するために「話すこと」の効果

著名な教育者、Lucy Caulkins*は、「こども達は{話すこと}によって、自分の考え、感情を他の人たちに対してだけでなく、自分自身に対してもより明確に認識できる。」と述べている。この経験の積み重ねがこども達の成長には不可欠なのだ。


3.少人数制の効果

こども達が意味深い考えと取り組む際に、ゆったりとした環境で取り組むことが望ましい。そのため、ABCでは5-8名程度の少人数で行われる。グループ分けに際しては、個人の興味、目的、協調性などが考慮される。これは、グループ内のそれぞれこども達の個性にあわせながら、お互いに対応できるように配慮している。


4.協同意思決定の効果

少人数の環境で、こども達は本の選択、クラブを実際どう進行させるかなど、Facilitatorの助けを借りながらすべてを協同で進行させていく。自由な発表の場で、個々のメンバーの能力が発揮され、お互いを尊重する体験をすることが可能である。その中で指導性を伸ばす子供も出てくる。


5.良質の本を読む効果

ABCでは教科書、簡単な説明書などは使わない。使用される本はクラシック、あるいは現代の児童文学書が多い。内容を簡素化したものや、空欄を埋めるドリル形式、ヒントがついたような本も除外される。こども達は、選択図書を真剣に、創造的に、自由に取り組むように促される。クラブでのdiscussion を通し、解釈、分析し、質問を投げかけ、時には流れを予想したり、評価したり、またその作品に関係のある個人的な体験を述べたりする。多種多様な作品を読み進める中で、心に思い描き、意味を汲み取るという作業をする。その課程で生徒の志向、長所が反映される。

また、本来、ABCは母国語を使って進められるものであり、当然ながら、母国語に対する理解が深まり、語彙も増える。


6.家庭と学校の関係に与える影響

学校でABCが実施される場合、教師以外にもFacilitatorとして父兄がボランティア活動をする場合がある。実際にプログラムに関与する父兄の意見は学校側にとって貴重なものであり、父兄は他の活動にも前向きな理解を示すなどの報告がある。


◆ABCの一般的な流れ 


下記はABC運用のおおまかな流れを紹介したい。当然、参加する生徒たちの年齢、ABC経験の有無、あるいは本の入手状況によっても、実際の運用は変わることが想定される。ABCに携わってきた教師陣がまず言うのは、「現実的にできることから始めよう。」「最初から完ぺきなABC運用を考えるよりも、生徒たちが一回目より二回目に、と徐々に成長する過程を大切に。」


以下で使うFacilitatorとは:文字通り、進行役、世話人の意味。通常教師やトレーニングをうけた大facilitatorとしてABCに参加する。discussionの交通整理役で、もっぱら聞き役で、より活発な話し合いを促す。

内容

生徒の作業

Facilitatorの役割

本の選択

生徒が読む本を自分たちで決めることができる。

慣れていない生徒のために、Facilitatorが5~10冊程度の本に関し、内容紹介など(Book talk)をし, それに基づいて生徒たちが読む本を決めることもある。

グループ作り

選択した本をベースに、5~8名程度の小さなグループを作る。初期の段階では、ABCを理解してもらう意味でクラス全体で同じ本を読むこともある。

グループのルール作りを促す。Discussionのスケジュール、Discussionをどうやって進めるか、毎回どの程度の量を各自読んでくるかなど、ルールを生徒たち自身で決める手助けをする。

Discussion 

解放的で自然な会話体で進む。内容は生徒たちの話し合い、質問などで進んでいく。本に関する話題に会話が脱線する場合もあるが、最終的には課題本にもどる。初参加の生徒の場合、実際のDiscussion風景を見せるのも効果的。また、慣れるまで、それぞれの生徒に役割分担をし、Discussionを進行するやりかたもある。

グループの年齢、レベルに応じて実際の役割が変わることもある。オブザーバー、参加者の一員となることもあるが、基本的にはDiscussionの交通整理役。各生徒たちの意見の確認をし、生徒間の質問を促す。インストラクターのようにある方向へDiscussionを導くことはしない。 Discussionの内容を記録し、個々の生徒の成長を見極める。

Extension Project

意見の構築を促す手段として、特に低学年では言葉での表現だけでなく、絵や工作を利用した表現も積極的に導入。高学年になるとグループ毎、あるいは個人のジャーナル作成などを導入。

生徒たちの関心のつよいポイントなどを、絵や工作での表現するよう提案したり、ジャーナル作成の手引きなど。

評価

生徒自身、毎回Discussion後の感想を述べたり、定期的に自己評価をするよう求められる。

毎回のDiscussionの記録から評価、報告書をまとめる。生徒に公開し、生徒自身の評価とともに話しあう。

また新しい本の選択をし、次の回が始まる。年に3~6回程度のセッションが繰り返される。

これはあくまでの学校という環境の中で行われるABCの一般的な形式です。形にとらわれることなく、身近なメンバーで自由なDiscussionをすることから始めてはどうでしょうか?

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